理学療法士は飽和した?ウソとも本当ともいえない4つの理由

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「理学療法士は飽和した」といわれ始めているのですが、半分は正解では半分は不正解だと私は考えています。

今回は理学療法士の飽和問題について現役理学療法士がお答えしていきます。

私が理学療法士を目指した頃、理学療法士はこれから注目される仕事としてようやく脚光を浴びだした頃でした。

専門学校を卒業し、理学療法士として実際に働き始めた頃、新聞やテレビで理学療法士が取り上げられる機会も増え、理学療法士という職業の認知度がさらに上がりました。

介護保険が始まったことも相まって、理学療法士の専門学校や大学が乱立するようになり、10年ほど前から「理学療法士は飽和してきている」と業界内でささやかれるようになりました。

ここ数年は毎年1万人前後の国家試験合格者が輩出されることもあり、飽和状態を身をもって感じる理学療法士も増えてきています

現にGoogleやyahoo!の検索窓に「理学療法士」と入力すると「飽和」が検索の関連ワードとして表示されるほど、理学療法士が飽和していることを気にかけている関係者(特に今後理学療法士を目指そうとしている人)は多いです。

 

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理学療法士は実は飽和していない?

でも理学療法士が飽和しているといわれるのは、半分は本当で半分はウソだと私は考えています。その理由は以下の4点です。

理学療法士の就職先はまだまだある

理学療法士の求人はまだまだあります。

新しい病院が建設されて大量募集されるようなことはありませんが、介護施設であればまだまだ新規での開設ラッシュが続いています。

特に最近は訪問リハビリやデイサービスがめちゃくちゃ増えていて、求人広告を見ると訪問リハビリとデイサービスの募集はけっこうあります。

求人数だけみると一般的な企業への採用よりもかなりましな状態は続いています。50社入社試験を受けて通らないなんてことはないですからね。

業界の現状の受け止め方は人それぞれ

先ほど毎年1万人前後の新卒理学療法士が輩出されると書きました。毎年1万人が社会人になるということは、単純に1万人分の就職枠が必要になります。

いくら新規で訪問リハビリやデイサービスが増えても、さすがにそこまで余裕がありません。最近は新卒で就職できない人も増えていると聞いたことがあります。

一方でどんな業界にも新陳代謝は必要で、新しい人が入っていて新しい風を吹き込むことは業界にとってはプラスになることも多いです。

特にいまの年配の理学療法士は自分たちの既得権益を守ることに必死で、業界全体がよくなる方向に考えられない人も多いです。(考えているフリはしているが実際は自分が定年まで平穏に働き続けることばかり考えている)

理学療法士協会の新人教育プログラムなんて機能しているとはいい難い状態なので、そりゃ理学療法士協会への加入率も年々減少するわって話です。

新しい人が業界に大量に加わることも、見方ひとつで良い方向にも悪い方向にも受け止められます。

理学療法士の業務も広がりを見せている

理学療法士の仕事も多様化してきています。

たとえば理学療法士及び作業療法士法にの第二条には次のように書かれています。

この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
引用) 理学療法士及び作業療法士法

この文面の中には最近理学療法士が関わっている予防という言葉が一切ありません。

昔はケガをした人、病気になった人のリハビリをするの理学療法士の仕事だったのですが、最近はケガをしないように、病気にならないようにするのも理学療法士の仕事になっています。

同じように最近点数として認められるようになったがんのリハビリなんかも同じですね。

このように活躍するフィールドが増えれば業界内も活性化しますので、飽和している感じは薄れます。

そうはいっても取り巻く環境が厳しくなっているのも事実

ここまで捉え方や活躍するフィールドの広がり次第で、飽和状態と見られていてもそれは違うんじゃないかという意見をお伝えしてきました。

でもね、最後にガツンと本音をいいたいんですけど、やっぱり飽和してきているのは事実だと私は思っています。

「いやいや、それだったらここまでいってきたことと違うんじゃないの?」と思うかもしれませんが、それも承知で以下にやっぱり飽和してきていると感じる理由を書いていきます。

理学療法士の国家試験合格者数は多すぎる

理学療法士の国家試験合格者数は平成29年3月末時点で約15万人です。15万人というのは看護師、医師に続いて医療職では3番目に多い人数です。

現在理学療法士養成校の入学定員をみると、少なくともあと数年は毎年1万人前後の新卒が輩出されます。

毎年毎年1万人、いくら新規の訪問看護ステーションやデイサービスができようが、予防分野に職域が広がっても、そんなに大量に輩出されたら絶対あふれてしまうのは目に見えています

そんなこと分かっているのに、養成校の認可しまくった国にも責任はあると思いますが、そんなこと今さらいったって後の祭りです。

リハビリがどんどんできるほど国の予算がない

理学療法士うんぬんの話もそうなんですけど、それ以前に国の予算が減ってきていることも、理学療法士を飽和状態に追い込む原因になりますよね。

たとえば医療にせよ介護にせよ、国としてかけれる費用は限られています。しかもこれだけ高齢化がすすんでいるのですから、何とかして予算を削る方向で動いています。

「医療や介護の予算と理学療法士の飽和を結びつけるのは少し乱暴じゃない?」と思う人がいるかもしれません。

でも理学療法士の人数が増えても国としての予算がないのであれば、点数が取れなくなっておまんまの食い上げになってしまいます。

医療費、介護保険費の高騰も理学療法士の飽和を作り上げるひとつの要因になっていると私は考えます。

供給量の過多は賃金の低下を招く

おまんまの食い上げの話がでましたが、予算に限りがある以上、理学療法士が稼げる点数はある程度削られていることになっていきます。

現に私が理学療法士を始めた頃に比べると、理学療法士が1ヶ月に稼げる点数は6割りくらいになってしまいました。

稼げる点数が4割減→給料としてもらえるお金も4割減、これは自然な流れです。

新卒者の初任給はどんどん減ってきていますし、既卒者が違う病院や介護施設に転職しようとしても、年々条件は厳しくなっていてます。

昔なら理学療法士を採用したくても、人がいなかったので条件を良くしないと来てくれませんでしたが、いまならある程度の条件で応募が殺到することもあります。(特に急性期の病院や総合病院、国公立の病院)

思ったように給料が上がらないことに飽和状態の影響を感じている現役理学療法士も多いのではにでしょうか。

 

まとめ

理学療法士の飽和状態について感じていることをお伝えしてきました。

飽和じゃないといえば飽和ではないですが、日常的には「飽和してきてるなぁ」と感じることは増えてきています。そして今後も理学療法士が毎年1万人近く輩出される未来を考えれば、さらにひどくなることは安易に予想できます

大学や専門学校のパンフレットにはまだまだ将来があるような記載がされていますが、理学療法士になったとしてもそこまでハッピーじゃない未来がすぐそこまで来ているのかもしれません。


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