理学療法士が違う職場に移るとき、転職サイト(求人サイト)を利用することがありますが、そのとき失敗しないために絶対覚えておいて欲しいことを今回はご紹介します。
理学療法士が転職するとき、主に使うのは以下の方法です。
- 出身校に届いている求人票を利用する
- 学校の先生や友達、知り合いのツテをたどる
- インターネットで検索する
- ハローワークの求人を探す
- 転職サイトを利用する
その中でも最近転職サイトを利用する人が増えてきています。
ただし、転職サイトを利用するときには、いくつか知っておくべきことがあります。そしてその注意点を知らないととんでもない就職先を引いてしまうこともあるので注意が必要です。
私が経験した話を全てお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
理学療法士の転職サイトとは?
そもそも転職サイトって何なのでしょうか?ものすごく簡単にいうと「求職者のために無料で就職先を探してくれるサイト」です。
どんな職場がいいのか、どれくらい年収が欲しいのか、土日休みがいいとか、自分の希望の伝えれば、転職サイトの担当者がそれに合う就職先を自分に代わって探してくれます。
しかも見学や面接の日程を見学を調整してくれたり、履歴書の添削やアドバイスをもらえたり、給料の交渉までしてくれたりします。
図にするとこんな感じです。
①
病院・施設:理学療法士が欲しい病院や施設は転職サイトに登録をします。
求職者:仕事を探している理学療法士は転職サイトに登録します。
②
転職サイト:病院や施設には「こういう人がいますけどどうですか」と紹介し、求職者には「こんな病院(もしくは施設)がありますがどうですか」と紹介する。(=転職サイトは病院や施設、求職者それぞれをつなぎ合わせる)
③
病院・施設、求職者:入職試験(小論文や面接など)を受けて、問題がなければ入職が決定する。
最大のポイントは、理学療法士が転職サイトを利用するのは無料だってことです。こんなに至れり尽くせりのサービスが無料で受けられるなんて信じられないことですが、本当に無料なのです。
スポンサードリンク転職サイトはボランティアではない
就職先を無料で探してくれるなんてウソみたいな話なのですが、転職サイトはボランティアで仕事をしているわけではありません。
先ほどの図には続きがあります。病院や施設と転職サイトの関係をもう少し詳しく書くとこんな感じになります。
④
病院・施設:転職サイトに成功報酬を支払います。
そうなんです。人を紹介したら、その人に支払う初年度の年収の20%程度が転職サイトに支払われます。
たとえば転職サイトが理学療法士AさんをB病院に紹介して採用されたとしましょう。このときAさんの年収が400万円とすれば、転職サイトは400万円の20%の80万円をB病院から報酬として受け取れます。
ここで重要なのはB病院が転職サイトに支払う80万円はAさんに支払う400万円とは別に用意する必要があります。(=Aさんの400万円の中から80万円支払うわけではない)
ということは、この契約でいうとB病院はAさんを雇うために初年度480万円が必要だということです。病院や施設に1人紹介すると80万円儲かると考えれば、そりゃあ必死になって紹介しますよね。
スポンサードリンク理学療法士が転職サイトを利用するメリット
理学療法士の転職サイトの仕組みが分かったところで、転職サイトを利用するメリットについてお伝えしていきます。
就職先を探してくれる
就職をするとき一番なにが面倒って、就職先の病院をピックアップすることです。
「雇ってくれるところならどこでもいい」と口では言っていても、
「整形外科疾患が診たい」
「介護老人保健施設や訪問看護ステーションなどの介護施設よりも病院の方がいい」
「病院でもやっぱり急性期や回復期がいい」
「給料は年収で450万円以上欲しい」
「家族との時間を大切にしたいから土日祝休みがいい」
「家から近くて通勤が便利なところがいい」
などなど、やっぱりこだわりってありますよね。
転職サイトを利用する際には、自分の希望やこだわりを伝えれば、ある程度それに沿った就職先を探してくれます。もちろん「年収1000万円欲しい」とか、「週休3日がいい」とか、あんまり無茶をいうと無理ですが・・・。
見学や面接の日程を調整してくれる
就職活動をするとき、当たり前のことですが見学や面接のアポイントメントをとらなくてはなりません。そのときの電話ってめちゃくちゃ緊張しますよね。緊張してかけたと思ったら、担当者が不在でかけ直すはめになったりすると、また緊張なくてはなりません。
転職サイトを通じて就職活動をすると、見学や面接の連絡や時間の調整は希望日や時間を伝えておけばすべてやってくれます。これはすごくありがたいです。
就職先の情報を持っている
インターネットやハローワークで気になる求人を見つけたとしても、その病院や施設がどんなところか詳しく分かりませんよね。
たとえば、訪問看護ステーションで「勤務時間9ー18時」と記載されていたとしても、毎日の訪問リハビリの件数が6件か8件で仕事量はかなり変わってきます。
また訪問手段が原付きか車でも大きく異なります。車であればあまり天候を気にせずにまわれますが、原付きだと真夏や真冬、雨の日はきついです。
あと給料面では「経験により加算あり」と書かれていたとしても、何年目でいくら上がるか全く分からないので、詳しく知りたければ見学に行って聞かなくてはなりません。
転職サイトを通して就職活動をしたとき、転職サイトの担当者(エージェント)は病院や施設を周って情報を仕入れています。自分の目で見た生の情報を持っていることがあります。また転職サイトで以前その病院や施設に紹介した実績があれば、かなり詳しい情報がストックされています。
私が以前聞いた例でいうと、そこは訪問看護ステーションだったのですが、経験10年目でどれくらいの経験加算がついて年収がいくらになるか、1日の訪問件数、訪問手段などの情報は最初に教えてもらえました。
条件交渉をしてくれる
これが最大にして最高のメリットになるのではないでしょうか。
理学療法士に限らず転職時の一番大きな関心事といえば給料ですよね。それは男性であろうが女性であろうが、独身でも既婚でもいえることでしょう。
でも給料って病院や施設の規定があって、すでに決まっていることが多いです。もし決まっていなくても「もうちょっと給料を上げてもらえませんか」って見学や面接の場でいうのって気が引けますよね。
転職サイトを利用すると、担当者が求職者に代わって条件交渉をやってくれます。
確実にお金が上がるとは限りませんが、希望を伝えれば必ず採用担当者に掛け合ってくれます。どうしても急ぎで人材が欲しい場合などには、給料を上げてもらえる可能性があります。
履歴書の添削や面接の同行など
すべて転職サイトではないですが、履歴書の添削や面接への同行、模擬面接などを実施してくれるところがあります。
転職サイトの担当者は私たちの強い味方ですから、一緒に面接に入ってもらえたらこれほど安心なことはないですね。
あと面接の場で契約内容について、後から「言った」「言わない」の問題にならずに済むのもいいですね。
スポンサードリンク理学療法士が転職サイトを利用するデメリット
では次に転職サイトを利用するデメリットについてご紹介します。転職サイトを利用するときに失敗したくな人は特にこちらを覚えておいてください。
雇う側には報酬分だけ重荷になる
先ほどお伝えしましたが、転職サイトを利用する場合、求職者(理学療法士)は無料ですが、雇う側の病院や施設は転職サイトに紹介料として報酬を支払う必要があります。
たとえば理学療法士と年収400万円で契約すれば、80万円の成功報酬を転職サイトに支払う必要があります。
これについて私は「こんなにお金が必要なら転職サイトに理学療法士の紹介を依頼するのは無駄なんじゃないの?」と考えました。でも転職サイトを通じて理学療法士を求める病院や医院(クリニック)、介護施設はたくさんあります。
理学療法士の養成校が急増する前の時代ならいざ知らず、毎年1万人近く理学療法士が輩出されて人余りの時代のいまでも、その状況は変わりません。
なんでなんだろうって考えてみたら、理学療法士を求めている病院や施設にとったら、あてもなく求人を大学や専門学校に出して待つよりも、1日でも早く入職してくれた方が得するケースが多いんですよね。
たとえば訪問リハビリの場合、1件40分で毎日6件行ったとすれば40分の訪問リハビリ(約6040円)×1日6件×1ヶ月22日勤務=797280円で、1ヶ月で80万円が捻出できます。(※社会保険料や交通費は無視したとして)
ですから求人票を出しても1ヶ月以上反応がないくらいなら、成功報酬を支払ってでも早く雇う方が得するのです。そういう意味では成功報酬自体は病院や施設にとっても長い目で見れば痛手ではないのかもしれませんね。
まあこのあたりは成功報酬が必要なことを分かって、転職サイトに登録しているのですから、求職者は考える必要がないのかもしれません。
人気の就職先は少ない
転職サイトで紹介してもらえる就職先には、大学病院や公立病院、有名な大病院やスポーツで有名な病院など、人気のある病院や施設はないと考えた方がよいでしょう。
なぜならそんな人気のある病院や施設は転職サイトなんて利用しなくても、求人票を出せばすぐに埋まるからです。ですからそういう病院や施設に就職したいのであれば、転職サイトは利用せずに、コネや自分の実力で探してください。
「人気の就職先はない」と書いたですが、人気の就職先ではない病院や施設もふたつのパターンに分けられます。ひとつは給料が安かったり、人使いが荒かったりするブラックな職場で本当に人気がなくて人が来ないパターン。
もうひとつは、急に人が辞めたりして、とにかく1日でも早く誰か就職して欲しい病院や施設が転職サイトを利用するパターン。このパターンの場合は、ブラックではないですし、そこそこの人気病院や施設が見つかる場合もあります。
報酬目的の転職サイトもある
転職サイトは人を紹介してなんぼです。ここで働いている人たちは、誰かをどこかの病院や施設に紹介しないとおまんまの食い上げです。ですから、どこでもいいから就職させようとする傾向もあります。
たとえばすごく評判が悪い病院や施設でも、「いいところですよ(^^)」という感じで紹介される場合があります。(※絵文字は担当者の気持ちを表しています)
転職サイトってインターネット広告もいろんなところに出していて、広告費もけっこう使っているはずなんですよね。だからそれなりに強引に紹介していなかいと商売として成り立たないのかなぁって思っちゃったりします。
転職サイトや担当者の能力の差が大きい
理学療法士の転職サイトで大手といわれるところだけでも10社くらいあります。当然抱えている案件の数もサイトによって違います。ですからできるだけ大手で、住んでいる地域で強い転職サイトを利用するべきです。
あともっと大きな問題となるのが担当者です。イケてない人に当たった場合は最悪です。希望を伝えてもロクなところ探してこなかったり、連絡もうまできなかったりして、本当に苦労することがあります。(私も以前あるサイトを利用したときありました)
なんて転職サイトを利用して苦労しないといけないのかってなりますよね。
その場合、
- 担当者を変更してもらう
- 転職サイトを変える
のどちらかをしましょう。
スポンサードリンク理学療法士の転職サイトを利用するべき人とは?
長々とお伝えしてきましたが、転職サイトにはメリットとデメリットがあることが分かったと思います。転職サイトは絶対利用しないといけないものではありませんので、無理に利用する必要はないと思います。
ただし以下に当てはまる人は積極的に利用すれば、無駄な努力をせずにより良い条件が見つかる可能性が高いです。
忙しくて就職活動に時間が割けない人
既に理学療法士として働いている場合、仕事が遅かったり、家族との時間に追われたりして、なかなか就職活動に時間が割けない場合があります。
そういう人は転職サイトに登録して希望やこだわりを伝えておけば、希望に近い就職先を転職サイトの担当者が探してくれます。しかも見学や面接の日程の調整、給料の条件交渉もしてくるので、ほとんど手をかけずに入職に至るケースも珍しくありません。
条件交渉して欲しい人
先ほどもお伝えしましたが、給料や勤務時間などの条件交渉って普通はなかなかできませんよね。
医療人で給料やお金のことを口にすると、奉仕の精神を盾にされて、まるで悪人扱いされることもあります。しかもこれから雇ってもらう立場ならなおさらです。
その点、転職サイトの担当者は全く気にせずに給料を含め、勤務時間、勤務曜日などの条件交渉をしてくれます。もちろんすべてがうまくいくわけではありませんが、気を使わなくてもいいので、自分でやるよりよっぽどましです。
早く就職先を見つけたい人
いま勤めている病院や施設でいざこざがあって、すぐにでも次の就職先を見つけたい人、もしくは離職していて早く就職先を見つけなくてはいけない人、そういう人たちは転職サイトを利用しましょう。
早ければ1週間くらいで、見学→面接→採用までいくことも珍しくありません。
取り柄のない人
毎年全国学会で発表しているとか、肩のリハビリなら誰にも負けないとか、そんな理学療法士としてのストロングポイントがある人なら就職に困ることはないと思います。
逆に学会発表をしているわけでもなく、ストロングポイントがない普通の理学療法士はぜひ転職サイトを利用してください。
だって普通の人が自分を高く売るのって本当に難しいですよね。それを転職サイトの担当者にうまく補ってもらって、言い方は悪いですがごまかして就職すればこちらのものです。
スポンサードリンク理学療法士の転職サイトおすすめは?
最後に私が利用してすごく助けられたおすすめの転職サイトをひとつご紹介しておきます。
PT・OT・ST WORKERという転職サイトで、その名の通りコメディカルの転職に特化していて、転職サイトでは最大手のひとつです。運営しているサイトです。
エージェントがめちゃくちゃ動いてくれて、すごく助かります。
利用は無料でできるので、本気で転職を考えている人は登録して話を聞いてもらいましょう。